相続によるトラブルは,それまで円満であった相続人間に深刻な軋轢を生じさせ,以後の親族関係を断絶する原因になります。
相続によるトラブルの大きな原因となっているものは,亡くなった方(被相続人)が,遺言書を残していないことです。
遺言書が無いと、全ての相続人が,自分の寄与(被相続人に対する自身の貢献)や,他の相続人による遺産の先取り(被相続人による贈与)などを主張し,各相続人が自分の取り分を最大化しようとし,泥沼化することが多いです。
特に,相続人の一人が被相続人と同居していたり,近隣に住んでおり,他の相続人は遠方に住んでいるような,亡くなる前の被相続人との関係性について各相続人間に強弱がある場合などは,この傾向が顕著です。
また,遺産が金銭のみの場合はともかく,不動産など現物分割できず評価が伴うものがある場合は,安易に法定相続割合に従い共有状態としてしまうのも事後のトラブルの原因になることがあります。
遺産は,被相続人の財産であり,残された財産をどう相続人間に分配するかは,被相続人の権利であり,無用な紛争を避けるため相続人に対する義務とも言えます。
遺言書を残しておけば,遺産分割時の絶対的な指針になりますし,その際,遺言の内容を実現する遺言執行者を第三者(弁護士などの専門職)に指定しておけば,より円滑かつ迅速に相続処理ができます。
相続人の一人が遺言執行者となると,執行するだけとはいえ,権限が一人に集中するので,相続人間の不平等感がいなめないからです。
以上の様に,現在,相続人間の関係が円満でも,遺言書を作成しておくことは極めて重要といえます。


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